2023年4月にオープンした星野リゾートリゾナーレグアムは、グアムの日系リゾートホテルとして多くの注目を集めていますが、その歴史をたどると、前身となるオンワードビーチリゾートに行き着きます。
この施設は1992年に開業し、観光地としてのグアムを代表するホテルとして長く愛されてきました。しかし、観光不振やコロナの影響による経営の悪化を背景に、2022年オンワードHDが売却を決断。星野リゾートが買収し、リブランドオープンを果たしました。
この記事では、星野リゾートリゾナーレグアムの昔の姿から現在に至るまでの変遷を解説します。オンワード時代の特徴やウォーターパークでの事故、グアムのホテル業界で起きた倒産・閉鎖の背景、さらに改装やリブランディングのポイントなど、幅広い視点から掘り下げます。
グアム観光に関心のある方にとって、過去と現在の変化を知ることで、星野リゾートリゾナーレグアムの魅力をより深く理解できる内容となっています。
- 星野リゾートリゾナーレグアムの前身であるオンワードビーチリゾートの歴史や特徴
- オンワードが売却に至った背景と経営悪化の要因
- 星野リゾートによる買収とリブランディングの内容や改装のポイント
- グアム観光業界の変化やコロナの影響による観光不振の現状
星野リゾートリゾナーレグアム、昔のオンワード時代とは
前身のオンワードビーチリゾートについて
星野リゾートリゾナーレグアムの前身であるオンワードビーチリゾートは、1992年に開業したグアムの有名なリゾートホテルでした。ホテルはハガニアに位置し、広大な敷地内にはプライベート感のあるビーチや、ウォーターパークが併設されていました。
家族連れやカップル、団体旅行者に人気があり、グアム観光の拠点として多くの日本人観光客に利用されていました。
このホテルの大きな特徴は、多様なアクティビティと快適な滞在空間の提供でした。特にウォーターパークは人気施設で、スライダーや流れるプールなどの多彩なアトラクションが子供から大人まで幅広い世代に愛されていました。
また、428室の客室は、約44㎡以上という広さを誇り、快適な空間を提供していました。客室からはビーチや海の景色を望むことができ、南国のリゾート気分を存分に味わえる設計でした。
オンワードHDが売却に至った背景
オンワードビーチリゾートは、30年以上にわたってグアム観光を支えてきましたが、近年の経済的な困難により、2022年ホテル事業を星野リゾートに売却する決断をしました。
この背景には複数の要因が絡んでおり、特に新型コロナウイルス感染症による観光需要の激減が大きな打撃となりました。
コロナ以前の2019年には、グアムは年間166万人以上の観光客を迎えていましたが、パンデミックの影響で観光客数が激減しました。
オンワードビーチリゾートもその影響を受け、2020年には売上が大幅に減少し、営業損失を計上する状況に追い込まれました。さらに、建物の老朽化による大規模修繕の必要性が迫っていたことも、経営の課題として浮上していました。
また、運営元であるオンワードホールディングスが経営資源を成長分野に集中する方針を打ち出したことも、売却の一因です。同社は事業の選択と集中を進める中で、グアムでのホテル事業を維持するよりも、他の事業にリソースを割くことを決断しました。
こうした状況下で、オンワードホールディングスは2022年3月、連結子会社のオンワードリゾート&ゴルフが保有するオンワードビーチリゾートグアム-INC.の全株式と貸付債権を、星野リゾート完全子会社のグアムホテルマネジメントへ譲渡すると発表。
星野リゾートがオンワードビーチリゾートを買収し、リゾナーレブランドとして再スタートを切ることとなりました。
星野リゾートの参入により、オンワード時代の施設やサービスがさらに進化し、グアム観光の新たな拠点として期待されています。この売却は、観光業界が抱える課題を乗り越え、新たな価値を創出するための転換点といえるでしょう。
コロナの影響が経営に与えた打撃
新型コロナウイルス感染症の影響は、グアムの観光業界全体に甚大な打撃を与えました。
オンワードビーチリゾートの業績を見ると、2019年の売上高36億円、営業利益1億1900万円だったのに対し、2020年は売上高8億3800万円、営業損失が9億2800万円となり、経営が悪化した状況が明らかでした。
観光需要の回復が見通せない中、ホテルの維持コストが経営をさらに圧迫したのです。
観光不振とホテル業界の現状
近年、グアムを含む観光地では観光不振が深刻化しており、特にコロナ以降の観光需要の低迷が続いています。
グアムは、日本や韓国、アメリカからの観光客に依存している地域であり、これらの国々が厳しい移動制限を実施していた期間中、観光客数が激減しました。
観光不振の原因としては、コロナによる移動制限だけでなく、国際的な経済不安や燃油費の高騰、航空便数の減少なども挙げられます。グアムのような観光地では、観光客がもたらす経済効果が地域全体の活力を支えるため、観光客数の減少は地元経済にも大きな影響を及ぼしています。
実際、多くのホテルが閉鎖を余儀なくされたり、従業員の削減やリストラを進めたりするケースが増加しました。
このような状況を打開するため、ホテル業界では国内外の観光客を引き戻すための取り組みが進められています。例えば、地元住民を対象とした割引キャンペーンや、新しいアクティビティの提供、施設の改装などが行われています。
ただし、観光需要の完全な回復にはまだ時間がかかる見通しです。現在も観光不振が続く中、ホテル業界は新たな価値を提供することが求められています。
オンワード時代に起きた事故の概要
オンワードビーチリゾート時代には、その名物であるウォーターパークで起きた事故が注目を集めたことがありました。2018年4月、韓国人の宿泊客がウォーターパーク内で滑って転倒し、深刻な怪我を負ったとされています。この事故を受けて、宿泊客はホテル側の管理体制に問題があったとして100万ドルの損害賠償を求める訴訟を起こしました。
事故の詳細によると、当該宿泊客はウォーターパーク内のバスルーム付近で濡れた床に足を滑らせて転倒しました。訴状では、床が滑りやすい状態にあったにもかかわらず、適切な注意喚起や安全対策が取られていなかったことが指摘されています。また、事故後の対応についてもホテル側の過失があったと主張されています。
このような事故は、リゾート施設が安全面での管理を怠らない重要性を改めて示す事例となりました。特に、大勢の観光客が集まるウォーターパークでは、安全基準を徹底し、事故防止策を講じることが求められます。
オンワードビーチリゾート時代の事故は、ホテル運営における課題と改善点を浮き彫りにしましたが、星野リゾートへのリブランド後には安全性をさらに向上させる取り組みが期待されています。
星野リゾートリゾナーレグアム 昔からの変化と今
星野リゾートが買収した理由
星野リゾートがオンワードビーチリゾートを買収した背景には、グアムという観光地の可能性と、リゾナーレブランドの海外展開への意欲がありました。
グアムは日本や韓国、アメリカ本土からのアクセスが良く、年間を通じて温暖な気候と美しい自然が観光客に人気です。この地での拠点を持つことは、星野リゾートにとって新しい市場への足がかりとなります。
さらに、オンワードビーチリゾートは長年グアム観光の中心的存在でしたが、施設の老朽化や観光需要の変化に対応しきれず、経営が悪化していました。
星野リゾートはこの状況をチャンスと捉え、リブランドを通じて施設価値を再構築し、グアム観光の復興に貢献する狙いがあったと考えられます。
星野リゾートが提供する「非日常体験」や「地域の特色を活かしたサービス」は、オンワード時代の施設に新たな付加価値を加えられると判断されました。
特に、リゾナーレブランドとして地域文化や自然環境を活かした独自の体験を提供することにより、より幅広い層の観光客を引きつける狙いがありました。
改装とリブランディングのポイント
星野リゾートリゾナーレグアムへの改装とリブランディングでは、既存施設の特徴を活かしつつ、新しい魅力を加えることが重視されました。特に、建物の大規模な変更は行わず、内装やサービスを刷新することで、星野リゾートらしい非日常感を演出しています。
改装のポイントは、地域の文化や自然を取り入れた空間デザインです。例えば、ロビーや客室には、グアムのチャモロ文化を感じさせる装飾やアートが施されており、訪れた瞬間から特別なリゾート感を味わえるよう工夫されています。
また、ウォーターパークやプールエリアの工事も進行中で、リブランド後にはさらなる充実が期待されています。
サービス面でも、リブランディングは顕著です。オンワード時代からの家族向けのスタイルを引き継ぎつつ、大人のための上質な体験やアクティビティも追加されています。リゾナーレブランド特有の「その土地ならではの体験」を提供するため、地元の食材を使った料理やチャモロ文化を学べるイベントなどが用意されています。
ウォーターパークの工事と新施設計画
星野リゾートリゾナーレグアムの大きな特徴の一つが、敷地内にあるウォーターパークです。この施設はオンワード時代から多くの家族連れや観光客に親しまれてきましたが、リブランドに伴い、さらなる改修が進められています。
現在、ホテルとウォーターパークを繋ぐ動線が見直され、より快適に利用できるよう工事が進行中です。
また、新施設計画では、既存のスライダーや流れるプールなどの魅力を維持しながら、新しいアトラクションの追加が検討されています。これにより、子供だけでなく大人も楽しめる内容に拡充される予定です。
工事中の影響はあるものの、完成後にはウォーターパーク全体がさらに魅力的な施設として生まれ変わることが予想されます。訪れる観光客にとって、1日中楽しめるアクティビティの拠点となるでしょう。
まとめ:星野リゾートリゾナーレグアム 昔から現在への変遷
この記事のポイントをまとめます。
- 星野リゾートリゾナーレグアムの前身はオンワードビーチリゾートだった
- オンワードビーチリゾートは1992年に開業した
- 経営悪化の原因はコロナ禍と観光需要の激減だった
- 建物の老朽化が大規模修繕を必要としていた
- オンワードホールディングスが事業選択と集中を進めた
- 星野リゾートがリブランドで施設価値を再構築した
- リブランド後はチャモロ文化を取り入れた空間が特徴
- ウォーターパークは改修と新施設の計画が進行中
- 星野リゾートが海外展開を拡大する象徴的な施設となった
項目 | 詳細 |
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ホテル名 | 星野リゾート リゾナーレグアム(Hoshino Resorts RISONARE Guam) |
住所 | 445 Governor Carlos G. Camacho Rd. Tamuning, Guam 96913 |
電話番号 | (671)647-7777 |
URL | https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/risonareguam/ |
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